『匣の中の失楽』

匣の中の失楽 (双葉文庫)

匣の中の失楽 (双葉文庫)

ようやっと読み終えた。『あ〜んを好きな小説でうめる』に入れてたくせに読んでなかった本なので、やっとホッとできました。
作中の登場人物・片城成(ナイルズ)が書く『いかにして密室がつくられたか』の話と、それを登場人物たちが読んでいる現実が交互にえがかれている作品。でも、次第にどちらが現実なのか作中の世界なのか、すべてが作り物なのか分からなくなっていく感覚が面白い。偶数章の解決はどこにいったのか?と疑問に残るところも沢山ありますが、(行方知れずのままな人もいるし)やっぱり4大ミステリーに入るだけあって(正確には定義されていないのかな?)凄い作品だったな〜と思いました。これを今の私と変わらない年齢の時に書いて、しかもデビュー作だって言うんだから。
私が読んだ双葉文庫版には論集もついていて、いつもは流すようなところですが、興味深く読みました。登場人物が人形の名前を模しているのですか…根戸の「俺達は密室のなかを生きてきたんだ。」とあわせて考えると、確かに人形である登場人物たちが小説という箱(匣)のなかで踊らされていたと。創作ノートも収録されていてお得な一冊でした。
さて、あとは『黒死館殺人事件』に挑戦です。