『北の夕鶴2/3の殺人』

北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス)

北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス)

今までの2作とはちょっと違った本作。殺人方法が顔の皮膚をはがされてたり、遺体をバラバラにしていたりするような猟奇的なものではなく、刃物で刺されているシンプルな殺人方法。(トリックは、本当に実行可能なのかなと思うくらい大掛かりなものだったので、ここらへんは島田荘司を感じます。)でも、それよりも吉敷という人物の新たな一面が一番新鮮なところではないでしょうか。
元妻の加納通子を守る為に、自分が嫌いなタイプの刑事に知らぬ間になっていて、自己嫌悪したり。通子を助ける為にボロボロの体で犯人を追ってみたり。今まで割とクールでスマートに事件に向かっていた彼の「熱い一面」が読んでいて楽しかったです。