『柔らかな頬』

柔らかな頬

柔らかな頬

今年は桐野夏生作品を全部読んでみようかと思う。
最近の超絶暗い作品より怖さはないけど、それでもやはりどうしようもなく暗い話。北海道の田舎町を18で逃げるように出てきて、今は夫の仕事相手の男性と不倫している主人公カスミ。不倫相手が購入した別荘に家族全員が招待され、「子どもを捨ててもいいかもしれない」と思った次の日の朝、長女の有香が突然いなくなる。娘を探しながら生きてきた4年間。何故か余命少ない元刑事と北海道で娘の捜索をすることになる。
娘を失った母の話、後半から出てくる病に冒された刑事と暗い感じの要素がいっぱいですが、最近の『残虐記』とか『ミロシリーズ』とかのように一人の女の人生全てを見せられているのが一番暗くて辛い。そんな不幸な女性の相棒として何故これまた不幸な元刑事を選んだんでしょうね。でもこの暗さを味わいたくて桐野夏生を読んでしまう。
真相はハッキリとしないまま終わってしまった。最後の内海の見た夢が本当の真相なのかなーカスミが見た夢は絶対違うんだろうけど。このあやふやな結末は割と不評なようですね・・・