038『ポーの話』

ポーの話

ポーの話

今まで読んだいしいしんじの作品と比べると「暗さ」が際立っているように感じた一冊。
うなぎ女から生まれた真っ黒い男の子、ポー。その外見と、純粋さゆえの怖さも持っているポーが主人公なのが「暗い」と思わせるのか。500年に一度の大雨で母親達と別れ、天気売りと二人川を下っていくのですが、川っていうとキラキラして希望と共に二人をいろんな場所へ連れてってくれるようなイメージがあったのに、この作品の川はそういう希望とかがあるわけじゃなく、ありのままの姿で二人を海まで連れて行ってくれてる感じがした。
川を下る途中で、鳩レースに情熱を燃やすおばさんのもとで働かされたり、過疎化が進む漁村でうみうしの娘にであったり。孫と犬と暮らしているおじいさんのところで、鳥を捕まえていながら、孫が作った巣箱にいる鳥を撃たないのは何故だ?というポーの疑問が印象に残りました。