061『沼地のある森を抜けて』
- 作者: 梨木香歩
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/08/30
- メディア: 単行本
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久美とぬか床の話も次第に壮大なエピソードへと進化していき、読み終わった後はなんというか疲れた。最後の方にある
世界は最初、たった一つの細胞から始まった。この細胞は夢を見ている。ずっと未来永劫、自分が「在り続ける」夢だ。
が印象的。それを受けて久美と共にシマに来た風野が、いう一言。
全宇宙にたった一つの存在。そのすさまじい孤独が、遺伝子に取り込まれて延々伝わってきたのかな、って思って・・・
だから生命は増殖するっていう話に繫がって、どうも悲しい印象を残してしまったわけですが。
そして、久美とぬか床の話、「かつて〜」で展開される「僕」の話どちらにも出てくる『ウォール』と言う単語。細胞膜ができた時点で一つのものが二つになる。でも、孤独から抜け出すために増殖しても、その壁が自分ともうひとつが別固体だということを証明していて、それもまた違う孤独なんじゃないかな〜と思ってしまいました。