『飛ぶ教室』エーリヒ=ケストナー(訳:高橋健二) 偕成社文庫

飛ぶ教室 (偕成社文庫 (3050))

飛ぶ教室 (偕成社文庫 (3050))

今更だけど『飛ぶ教室』を読む。中学まで本嫌いだったのでこういう名作も全然読んでないのです。
父親に捨てられたヨナタンと、成績優秀なマルチン、将来の夢はボクサーのマチアス、弱虫なウリー、頭の回るセバスチアン。ギムナジウムで過ごす5人の友情モノ。ヨナタン&マルチン、マチアス&ウリーといった印象なので、セバスチアンがちょっと出番少ないのが残念かな。マチアスのように強くなりたくて、怪我をしてしまうウリーの話もいいですが、私はやはりマルチンのお話が好きです。
クラスでもトップなマルチンだけど、家は貧しくて、今年のクリスマスは家に帰れるお金も無い。それを友達には黙ってるわけですよ。恥ずかしいのもあるし、本当の家がない(彼を乗せてくれた船の船長の妹にお世話になってる)ヨナタンへの配慮?遠慮?もある。母親の手紙には泣いてはいけないとあるけど、やっぱり泣くんです。このあたりが、まえがきにあった「子どもの涙はけっしておとなの涙より小さいものではなく、おとなの涙より重いことだって、めずらしくありません。」ってことでしょうね。いろいろあって、なんとか家に帰れたマルチンと両親のクリスマスの過ごし方が素晴らしいよ。息子を想ってあんなに泣ける両親も最近じゃなかなかいないですよね。ただ、マルチン家族の幸福ぶりを見てると、ヨナタンの「自分の両親は選ぶことができない」ってとこが思い出されて切なくなります。
もっと早く読んでたら、映画上映されてたときも喜んで行ってたのに。しかも、地元でも上映してたのに!そりゃもう公開終了してるわけですよ。現代風になってるみたいですが、見てみたい。予告の雪合戦のシーンとか見てたら無性に見たくなってきた!
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