『リアルワールド』
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2003/02/26
- メディア: 単行本
- クリック: 6回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
5人の視点でバラバラに書かれたミミズの逃亡生活ですが、4人の女子高生達それぞれの友人に対する視点はみな的を射ているのが読んでいて怖かった。友人にも見せない部分ってのは誰しもあると思いますが、実は隠していてもなんとなく滲み出ていて分かってしまうものなのかもしれない。
何故ユウザンやキラリンが積極的にミミズに連絡を取るのかが理解できないところだった。ユウザンは母を失った(自分では殺したと思っている)自分と共通点があると思っているのが理由なのかもしれないけど、キラリンの方は今の女子高生でもそんな無茶はしないだろうと思う。でも、ネットにミミズの写真が出たあたりで何となく思ったのは、やっぱり殺人犯っていう自分とは違うものへの好奇心が一番の理由なのかなと。現実の事件でも殺人事件の犯人の殺人前の様子、卒業アルバムの作文さえも出て、殺人犯がどんな人物だったのかを事細かに報道する。小説の中だとしてもミミズに近付きすぎているんじゃないかと思ったキラリンだけれど、実際に近づけるチャンスがあるならば現実でもキラリンのように殺人犯に近付こうとする人がいたりするのかもね。