027『九月の雨』

九月の雨 (偕成社コレクション―四季のピアニストたち 下巻)

九月の雨 (偕成社コレクション―四季のピアニストたち 下巻)

『九月の雨』は広一が、『ホワイト・ピアノ』は佳奈がそれぞれ主人公。
苦いサヨナラをした二人が、それぞれ特別なひとに出会ったことで、『サマータイム』のラストの出会いに繫がるっていうのがいい感じです。
特に広一が自転車に挑戦するシーンが印象的。やっぱり佳奈と喧嘩になった原因でもある自転車は、以前自転車で転んだという経験と一緒になって、彼のトラウマみたいなものになっていたわけで。それを頼りない母の恋人・種田に手伝ってもらう訳ですが、頼りない種田でもやはり男性。今まで支えてくれた母や佳奈とは違う力強いサポートに驚いてるのと、頼りないヤツだと思ってた種田の意外な一面に苛立ったりしている様子とか、よく分からないけれど今練習をやめたらもうお終いだっていう意味のない焦りとかがゴチャゴチャになっている部分が妙に心に残った。