032『図書室の海』

図書室の海 (新潮文庫)

図書室の海 (新潮文庫)

表題作の「図書室の海」が『六番目の小夜子』の番外編で、関根夏が出るって話だったのですっごい期待して読み始めた短編集。「図書館の海」はもちろん面白かったけれども、一番楽しめたのは「睡蓮」でした。冒頭の

睡蓮の下にはきれいな女の子が埋まってるんだよ。池の底の暗い泥の中に埋まったきれいな女の子からでなきゃ、あんな美しい花は咲かないんだ。

の所からワクワクしてきたくらい。それで、稔・亘って他の作品でもいたような・・・?と思ったら理瀬ですよ!このシリーズが大好きな私には、短くてもすっごい濃い作品。知らずに読めたのが幸せです。
解説にも書いてありましたが、どの短編も予告編のような作品。(「ピクニックの準備」は本当に予告編だけど)「イサオ・オサリヴァンを探して」も『グリーンスリーブス』という作品の予告編らしい。読みたい!これだけでも面白いけど、確かに説明不足な所もあってこれで終わりなの?とちょっと不満もあったので、予告編と聞いて安心しました。