『幻想運河』有栖川有栖 講談社ノベルス

幻想運河 (講談社ノベルス)

幻想運河 (講談社ノベルス)

 有栖川ミステリ裏ベストワン。裏だけあっていつもと違った感じです。舞台はアムステルダム。男性の死体が運河からバラバラになって発見され、主人公がその事件を推理していく(実際は自分が疑われてるからとか、そういった理由から事件について調べていくだけですけどね)のですが、はっきりとした解決はないです。ラストはタイトルどおり幻想的というか、ロマンチックで寂しげな終わりかなと。あとがきでも書いてありましたが、本格ミステリではないですね。これが裏ってこと?主人公が書いた短編推理小説(作中作)も「そんなトリック反則だよ」みたいなものですが、この小説を彩るには必要なのかも。ミステリィではなく幻想小説、恋愛小説として楽しみました。ラスト近くはちょっとウルッときました。泣いてはないけど。