077『熊の場所』

熊の場所 (講談社文庫)

熊の場所 (講談社文庫)

とても面白く読ませていただきました。随分薄い本ですけど、中身はぎっしり。文字もぎっしり。舞城氏の特徴だと思いますが、一文がとても長い。最初は慣れないけれど、何冊か読んでいる今となっては、むしろそんな文章を待っているというか。もっと長いの読ませてよ!という心境。結構長いほうがスラスラ読めたりするんです。
熊の場所」「バット男」「ピコーン!」の三編がおさめられていますが、私は「熊の場所」が一番好きです。「自分が恐怖だと感じる場所には、なるべくはやく戻れ」っていう分かりやすいテーマだからかもしれませんね。「熊の場所」「バット男」は後味の悪い終わり方、少しホラーっぽい感じでしたが、「ピコーン!」は内容が暗いわりに最後は結構前向きな終わり方。事件の解決の仕方が「煙か土か食い物」とか講談社から出ているミステリーと同じようにやや強引に見えるようなスピーディーさ。
舞城作品に共通しているのが「暴力的」なモノの存在だと思っているんですが、一度そういうもののない作品を読んでみたいな〜(全作品を読んでいるわけじゃないので、そういう作品があるかもしれないけど。)