『ネクロポリス』(上)(下)

ネクロポリス 上

ネクロポリス 上

ネクロポリス 下

ネクロポリス 下

死者と実際に会える「ヒガン」が行われている孤島アナザー・ヒル。そして、今年は「切り裂きジャック」の話題もあって例年とは違う「ヒガン」を経験することになる。

日本の習慣『彼岸』が、「お客さん」と呼ばれる実際に生きている人のように出てくる死者たちと会えるっていう「ヒガン」が面白い。こういう設定がたまらなく好き。恩田さんのファンの人には結構はまる設定だと思います。他にも日本の文化が出てきて、舞台は英国なのに、そこにいる人たちが日本と似たようなことをしている、っていう違和感がまた面白い。微妙に日本と違う箇所があるのもね。卵の使い方も、お椀に入れてその変化で「お客さん」との遭遇を占ったり、お稲荷様に供えるのはオムライスだったり。

いろんな謎が解明されないままだったり、最後のまとめが急ぎ足だったような気もしたりと、不満な点もありましたけど、とにかくこの作品の設定に酔いしれながら読むことができて幸せでした。