『ベルカ、吠えないのか』

ベルカ、吠えないのか?

ベルカ、吠えないのか?

ただ一言「すごい小説だった」というのが読み終えての感想。
小説なんだから、といってしまえばそれまでなんですけど、この運命の廻り方はある意味感動を覚えます。
島に置き去りにされた軍用犬4匹から始まるイヌたちの物語。アメリカ・ロシア・中国の関連も面白いし、ベルカとストレルカの話も充分気になる話ではありましたが、なんといっても「イヌよ、イヌよ、お前たちはどこにいる?」で始まるイヌたちの物語が一番気になる部分でした。純血であることを望み子孫を増やしていくイヌと、いろんな種のイヌと交わることで強くなっていくイヌの二つの系統。その中でも、戦地に行くものもあれば、美しさを競うために生まれてきたもの、犬橇用のイヌになるもの、野犬のように生きるもの、狼のように一人走り続けるものと、また様々な方面に分かれていくのに、時々その分裂したものが血が呼んでいるかのように巡り合う瞬間があるのが、読んでいて興奮しました。